豊平峡電気バスリポート 2025.秋

特集道内バス探訪記

2025年10月 豊平峡ダム 撮影:MAPBUS

札幌の奥座敷とも呼ばれる定山渓のさらに奥地にある豊平峡ダムでは、観光客の見学のために電気バスが運行されている。
ダムは支笏洞爺国立公園内に位置しており、環境保全の観点から一般車両の乗り入れは禁止されている。
電気バスの運行はダム完成から4年後の1976年に始まり、現在の車両は3・4代目となっている。
ダムの見学は雪解け後に一般開放され、2025年は5月1日から11月4日が営業期間となっている。

もうすぐシーズンオフを迎える豊平峡ダムは紅葉の見頃となっていた。
本記事では多くの観光客を運んでいた新旧の電気バスを紹介する。

3代目車両:トヨタ・コースターハイブリッド

2025年10月 撮影:MAPBUS

3代目の電気バスとして2000年に5台が登場した。マイクロバスをベースとしているため乗車定員が大幅に増加、立ち席も含めると40名の乗客を一度に運べるようになった。

乗降扉は車体中央と後方の2か所設けられており、係員が手動で開閉操作する。
5号車は後部に車いすリフトを設けている。
車両毎に豊平峡の植物をモチーフとした色が設定されている。

4代目車両:BYD J6 2.0

2025年10月 豊平峡ダム 撮影:MAPBUS

2024年9月に1台目となる車両が導入された。
日本国内各地で導入の進むBYD製小型電気バスJ6 2.0の市販車両をそのまま用いている。

2025年10月 撮影:MAPBUS

最初に導入された2号車。3代目の2号車を置き換えており、「カタクリ」の愛称が付けられた。

2025年9月には2台目となる車両が増備され、こちらは1号車「ハクサンチドリ」と命名されている。

豊平峡ダムへのアクセス・沿線風景

2025年10月 撮影:MAPBUS

豊平峡ダムへのアクセスはじょうてつバスを利用して豊平峡温泉まで向かった後、徒歩で電気バス乗り場のある駐車場へ向かうこととなる。
豊平峡温泉とダム駐車場は約3㎞の距離があり、30分以上を要する点と行きは上り坂を歩くこととなる点に留意されたい。
紅葉のシーズンとなる10月は上掲の画像の豊平峡ダムライナーが定山渓観光案内所から運行される。こちらは予約定員制となるため利用の際は事前に最新情報を収集したい。

2025年10月 撮影:MAPBUS

電気バス乗り場に到着した3代目1号車。
利用の多い時間帯は満員になり次第出発しており、概ね10分間隔での運行であった。
車両は通常で3台、多客時は4台で回していた。

2025年10月 豊平峡ダム 撮影:MAPBUS

ダムへの専用道路には2本のトンネルがある。
最初の冷水トンネルを抜けた新1号車を撮影。両トンネル間には九段の滝が流れており、乗客が撮影できるようここでは一時停止、徐行で通過する。また、トンネルは一車線であるため上下の通行車はここで行違うようになっている。
トンネルには歩道もあり、電気バスを利用せずにダムへ向かうこともできる(距離約2㎞, 徒歩約20分以上)

2025年10月 撮影:MAPBUS

こちらはダム側の豊平峡トンネル内部での撮影。

2025年10月 撮影:MAPBUS

豊平峡トンネルを抜けた先にダム側の乗降場がある。後方に写るのは駐車場行の出発便。

2025年10月 撮影:MAPBUS

乗降場には車庫も併設されている。左端の3号車はこの日運行されていなかった。

2025年10月 撮影:MAPBUS

2025年10月 撮影:MAPBUS

紅葉の豊平峡ダム。訪問の数日後には初雪が降ったという。

2025年10月 撮影:MAPBUS

バス乗降場付近では展望台へのリフトカーが随時運行されている。遠回りにはなるが、展望台へは紅葉を楽しみながら徒歩で向かうこともできる。

2025年10月 撮影:MAPBUS

先代の2号車は展望台付近の休憩所として余生を送っていた。